認知症の治療と予防法

【認知症は「進行を遅らせる」治療】
現状では、認知症を治す薬がないが、薬で進行を遅らせることは可能。
効果的な医療とケアにより認知機能の衰えを防ぎ、リハビリ等で障害のない機能を高めることで、症状が徐々に改善される場合もある。

【認知症の診断方法】
基本は問診。症状や経過などについて家族に聞くことにより、認知症のタイプがほぼ特定できる。
その後、日付や現在の場所を聴くなど、簡単な認知症テストを行い、さらに必要な場合はCTやMRIにより脳の委縮や梗塞の有無等を詳しく診断する。

【治療は薬剤とケア】
○薬剤について

「認知機能の低下を抑える薬」と「行動・心理症状を抑える薬」の中から、症状や副作用などに応じて選択する。

「認知機能の低下を抑える薬」
・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
脳神経を覚醒させるアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑え、脳の働きをよくする薬。「ドネぺジル」、「リバスチグミン」、「ガランタミン」など。
・NMDA受容体拮抗薬
神経を興奮させるグルタミン酸の受容体の働きを弱める薬。
興奮による神経細胞死を防ぐ。「メマンチン」など。

○ 認知症を予防するために、日常生活で心がけることは次のとおり。

【運動】
運動の効用は研究での実証あり。週3回、30分程度の運動を20年続けている人は、アルツハイマー型認知症の発症は1/3に減少。

【食べ物】
緑茶、ワイン、ウコンなどの含まれるポリフェノールや魚に含まれるDHAにβアミロイド沈着を防ぐ効果があることが明らかになっている。

【学習】
脳の海馬の神経細胞は、学習や新しいことへの挑戦によって増加することが判明。

○ケアについて
行動・心理症状については、適切な介護での対応が基本となる。ただし、症状がひどいときには薬で落ち着かせることができれば、介護負担の軽減にもつながる効果がある。

行動・心理症状を落ち着かせる薬としては、「メマンチン」や漢方薬の「抑肝散」など。
さらに必要があれば、抗精神病薬の「リスぺリド」、「クエチアピン」など。

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